毛髪は日々、色々な刺激を受けています。
パーマ、ヘアカラー、毎日の様に使うシャンプー剤、ヘアードライヤーやヘアーアイロンによる高熱、比較的、丈夫だと言われているケラチンと呼ばれる毛髪のタンパク質でも時間の経過と共に痛み始めます。
毛髪の損傷(ダメージ)とは毛髪が壊れる事にほかなりません。
毛髪について
日本人の毛髪本数は平均10万本
一日に約50~60本の自然脱毛
1ヶ月の成長は約1センチ(最も活発な時期で1.2センチ)
一本の髪の寿命は男性で3~5年、女性で4年~6年
髪の等電点はPH4.5~5.5(弱酸性)
毛髪にとっては 弱酸性が理想的
PH(ペーパー)値とは酸性、アルカリ性、中性を示すものです。0~14の段階があり中間の7を中性として7未満は酸性、7以上はアルカリ性となります。髪のPHは4.5~5.5で弱酸性となります。
パーマ剤やカラー剤はアルカリ性です。
過度な施術や手入れの状態が悪いとアルカリ度が高くなり過ぎて軟化、膨潤、溶解となり毛髪内のタンパク質が、ふやけて溶け出すようになってしまいます。
髪の表面を覆って蓋をしている役目にキューティクルがあります。キューティクルはアルカリ度が高くなり過ぎると蓋が開いた様な状態になります。逆に酸性に傾くとキューティクルは引き締まり蓋を閉じた様な状態になります。
お客様の中でも中々、忙しくてヘアカラーの為に来店する時間が惜しくて自宅でホームカラーをされる方は少なくありません。ドラッグアストアへ出掛けると様々な商品が陳列されています。
タンパク質の溶解、流出 によりウエーブ形成らず
ある日、いつもホームカラーをされているお客様のU様が来店されパーマをかける事になりました。時間になりロットアウトし洗い流した所、フロントの一部の毛髪にウエーブが形成されていません。結論として一部分、損傷が激しくタンパク質の溶解、流出がありウエーブが得られなかったとゆう事でした。
原因を探らなければならないので色々と質問をしてみました。市販の染毛剤は普通、25分~30分くらい自然放置して洗い流します。忙しい現代人の為なのかどうか?早染の商品が出回る様になり10分程度で染まり洗い流すものです。
通常のタイムの半分以下の時間で染まり、洗い流しOKとなると、見方を変えるとその分、強い薬液を使用しているとの解釈ができます。
オーバータイムによる更なる 損傷
Uさんは早染を使用し、その間、家事をやりながらタイムオーバーをし(単純な考えで時間をしっかり置いた方が綺麗にしっかりと染まると考えた)てしまった様です。
そんな事を繰り返しているうちに毛髪のアルカリ度が、かなり高くなりタンパク質の溶解、流出を招いてしまったようでした。
お客様のU様にその事を説明して決められた時間はしっかりと守って頂く様に又、毛髪の状態が良くなるまでなるべく我慢して染める回数を減らす様にお願いしました。
私のサロンで染める際には染毛剤にコラーゲンを混ぜて極力、髪を傷めない様にしています。
U様も今回の件で染毛剤に混ぜるコラーゲンの存在を知り自宅でホームカラーをする際に是非、コラーゲンを使いたいので分けて欲しいとの依頼がありました。このコラーゲンを混ぜて今、現在もずーっとホームカラーをされています。今迄の苦い経験を生かして色々な知識も得て用心深く髪のお手入れをされています。
タンパク質の流出を 確認出来る時
毛髪のタンパク質の溶解、流出はこの目で確認する事は出来ませんが流出している瞬間を実感する事はあります。
それは髪が乾いた状態では分からないのですが洗い流してタオルで拭き取り、まだ濡れている時です。タンパク質が流出している毛髪の部分に手指が触るとベタベタとして接着剤を触っている様な感触があります。美容師として日々の仕事の中で実感、出来る事であり、お客様ご自身では中々、感じ難い事だと思います。
私達、美容師も日々お客様に色々な事がお伝へ出来る様に少しでも多くの事を学んでお客様のお役に立てる様に頑張って行きたいと思います。